LHP高精度マルチフェーズモデリング

背景および目的

エレクトロニクスの急速な発展に伴い,我々を取巻く多くの電子機器類では,発熱量および発熱密度の増加,ならびに消費電力の増加といった問題が生じている.このような機器からの熱輸送手段として,動作に電力を必要としない高効率な熱輸送デバイスであるループヒートパイプ(LHP)は,その幅広い利用が期待されている.しかしながら,LHPの伝熱メカニズムは,閉鎖系内での気液相変化を伴う熱流動や多孔質体での伝熱などが複雑に絡み合っており,システムとしての動作予測が容易でない.このため,非定常な過渡現象を含む予測解析手法は確立されておらず,宇宙分野においては特に高精度な温度制御要求を伴う宇宙機のLHP設計が難しい.また民生分野においては,広く利用される製品にLHPを搭載するなどして実用化された例はいまだかつてない.本研究では,次世代宇宙機や次世代電子機器のスタンダードな熱制御技術としてLHPを適用するため,基本設計や性能検証を行う解析モデルの構築を目的としている.これにより,宇宙分野では軌道上実験との比較対照による非定常モデルの高度化,民生分野では製品搭載に向けたLHPの設計により実用化を目指す.

方法

図1に示すようなLHPの内部流動に対して,モデル化した均質二相流の保存則を流れ方向に離散化することにより数値的に解き,各部温度などの物理量を解析する.外部からのエネルギー供給により能動的に動作温度の制御を行ったLHPの過渡温度解析の事例を図2左に,通常のLHPの定常温度解析の事例を図2右に示す.

主な成果

図1 LHP構成例(左:宇宙向け,右:民生向け)
図1 LHP構成例(左:宇宙向け,右:民生向け)
図2 動作温度解析事例(左:過渡解析,右:定常解析)
図2 動作温度解析事例(左:過渡解析,右:定常解析)

(佐藤洸貴)