自律熱制御ネットワークによる月面長期滞在法

背景および目的

近年,月面探査を始めとした惑星探査が世界中で活発に計画,実行されている.しかしながら月は公転周期の関係で29.53日周期で昼夜が訪れるため,表面温度は-180℃~120℃の範囲で周期的に変化する. 月面で長期滞在を行う場合は、昼間の高温環境での放熱技術に加え,太陽光などの外部エネルギーが利用できない夜間の保温技術(越夜技術)が必要となる. 過去には月面長期滞在を実現している探査機もいくつか存在するが,放射性同位体を用いたシステムを搭載している.月面長期滞在実現の主流となる熱制御はRHU等の放射性同位体を用いた手法となっている.

そこで本研究は,レゴリス(月の砂) の断熱性と蓄熱性や,受動的熱制御デバイスを利用した自律熱制御ネットワーク手法を提案し,電力,放射性物質を必要としない完全に受動的な熱制御の実現を目指す.

方法

本提案の自律熱制御ネットワークは,マルチループヒートパイプ(MLHP),自励振動ヒートパイプ(OHP),可逆展開型ラジエータ(RTP),多層膜断熱材(MLI)を最適に組み合わせることで高温時の排熱と,低温時の保温を電力を用いることなく実現させる手法である. 図1に示すような月面における詳細な熱環境モデルを構築し,熱的成立解を見出す.実験モデルを製作し,研究室の保有する月面熱真空チャンバーやスペースチャンバーを利用した実証実験を行う.

主な成果

図1 月面熱解析モデル
図1 月面熱解析モデル
図2月面模擬環境装置
図2月面模擬環境装置

(置塩省吾)