ループヒートパイプ内部流動に関する研究
背景および目的
近年高度化する宇宙ミッションに対応する次世代の熱輸送デバイスとしてMultiple evaporators Loop Heat Pipe(以下MLHP)が注目されている.MLHPはLHPと同様に受熱部である蒸発器内に設置された多孔質の毛細管力と作動流体の相変化により駆動し,熱を輸送するデバイスである.更にMLHPは蒸発器の複数化によりLHPにはない以下の利点を得られるという特徴がある.
1.複数熱源からの熱輸送 (図1(a))
2.熱共有による保温機能 (図1(b))
これにより高機能な熱制御デバイスが実現可能であるが,熱共有のようなMLHP特有の動作における内部流動特性が十分に把握されておらず宇宙実証には至っていない.またMLHPやLHPにおいて凝縮器は蒸発器と同様に重要な要素であるが,LHPの凝縮器内の流れは十分に検討されていない. そこで本研究は,蒸発器及び凝縮器の可視化により内部流動特性の解明を行い,詳細モデルを確立する事を目的としている.
方法
本研究では,工業用内視鏡を用いた蒸発器内の可視化,及びハイスピードカメラを用いた凝縮器内の可視化によりMLHPの熱流動機構解明に取り組んでいる(図2).本研究室ではこれまでに多孔質材料や作動流体,パラボリックフライトによる微小重力環境など,様々な条件がMLHPの動作に与える影響を調べてきた(図3).現在はMLHP特有の動作である熱共有モード(図1(b))の更なる理解や,凝縮器での凝縮の詳細な検討に取り組んでいる.
主な成果
- 松田雄太,長野方星,岡崎駿,小川博之,永井大樹,“マルチエバポレータ型ループヒートパイプの内部流動特性に関する研究(微小重力環境下での蒸発器及び凝縮器の可視化),”日本機械学会論文集,Vol. 81 (2015) No. 827 p. 15-00104.
- 木澤雅文,松田雄太,長野方星,“マルチエバポレータ型ループヒートパイプの内部流動特性に関する研究(蒸発器及び凝縮器の流動特性に及ぼす各種パラメータの影響),”混相流シンポジウム2015(日本混相流学会,高知,2015).
(木澤雅文)



